先輩看護師の実習記録インタビュー
先輩看護師の実習記録インタビュー

第10回 終末期実習

今回インタビューを受けてくれた先輩
Kさん
・お住まい:埼玉県
・年齢性別:30代女性
・対象実習:成人 終末期実習

先輩看護師の実習記録インタビュー

●終末期実習


冒頭から根本的な質問になりますが、Kさんにとって、終末期の実習というのは、どのようなものでしょうか?

死を意識するような病態の患者さんを受け持ち、その方の死生観などを捉えながら、寄り添った看護を学ぶ実習かなと思います。

終末期の実習では、どのような患者さんを受け持ちましたか?

3週間の実習で、1人の患者さんを担当しました!
呼吸器内科病棟での実習で、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の70代の男性患者さんでした。

え!COPDって、死に至るような病気なんですか・・・?

はい。COPDが進行すると、肺胞が壊れて呼吸機能が低下し、人工呼吸器の陽圧喚起がなければ自分で呼吸をすることができなくなってしまうんです。
しかも、私が受け持った患者さんはパーキンソン病を併発していて。COPDもパーキンソン病も、どちらもかなり進行していたので、万一、急変すると危険という状態でした。
幸い、私が担当した間に急変はなく、無事に受け持ちさせていただきました。

●一番苦労した実習


その患者さんは、どのような死生観をお持ちで、Kさんはどのような看護を行ったのでしょうか?

実は、それを捉えるのに、とても苦労した実習でした・・・!

・・・と言うと?

その方の個別性をなんとか汲み取ろうと話しかけても、発声がうまくできない方だったため、何を言っているのか聞き取ることができなかったんです。
パーキンソン病の症状もあり、顔の表情から感情を読み取ることもできませんし、体力も落ちているので筆談もできませんでした。
私が話しかけたことに対して患者さんがせっかく答えてくれても、私がうまく聞き取れずに患者さんが怒ってしまう、ということの繰り返しで・・・。
患者さんからは訪室を拒絶され、私自身の気持ちも後ろ向きになってしまい、どんどん悪循環になっていました。

それは大変でしたね・・・。

いや、正直、ほんとーーーーに辛かったですね・・・。
同じグループの他の学生は、どんどん看護を展開できているのに、自分はなかなか患者さんの個別性を捉えられず、清潔ケアしかできずに2週間が過ぎていました。とても焦りましたね。
私の場合、それまでの別の領域の実習がとても順調だったこともあり、もの凄く辛い2週間でした。なんとか、最後の1週間で患者さんとの距離を縮めることができたんですけどね!

よかった!!!どうやって、患者さんとの距離を縮めたんでしょうか?

ある時、患者さんが発作を起こした際に、ふと思ったんです。
「呼吸が苦しいという状態は、非常に死を意識する瞬間なんだろうな」と。「とても怖いだろうし、不安だろうな」と。
当たり前のことのようですが、改めて患者さんの立場に立って、死への不安を見つめた ことで、患者さんの力になりたいという気持ちがもう一度湧いてきて、後ろ向きになりかけていた自分の気持ちを払拭できたように思います。
それからは、コミュニケーション方法を見直し、わたしからの積極的な発話を無理に行わないようにしました。患者さんは、もとから無口な方のようだったので、患者さんのペースに合わせました。
具体的には、しゃべらない時間を大切にしたり、手浴や足浴などのタッチングを多く取り入れるようにしたりしたんです。

言葉でのコミュニケーションが全てではないですもんね。患者さんの様子に、何か変化はありましたか?

はい!それからしばらくして、患者さんが「外に出たい」と微かに呟いたんです!それまで、ご自身の希望を伝えてくれることはほとんどなかったので、とても嬉しかったですね。
その時点の病状では、外に出ることは許可されなかったのですが、せめて窓から景色だけでも見せてあげたいと思いました!
その患者さんの病室は、窓が見えないベッド配置だったので、医師と相談して、リクライニングチェアに患者さんを移動させ、短時間でしたが窓から外の景色を見てもらうことができました!この出来事がきっかけで、患者さんの心を少し開けた気がしました!

患者さんから、希望を伝えてくれたんですね!それは嬉しいですね・・・!

そうなんです!また、足浴や手浴に入浴剤を入れて、「温泉気分にちょっとでもなりますかね~?」なんて話しかけながらケアしていたら、「お風呂に入りたいな」と患者さんがまた呟いたんです!

徐々に、患者さんとの距離が縮まっている感じがしますね!!!

はい!この患者さんとのやりとりを通じて、患者さんの個別性について、自分が固定概念に捉われていたことに気づきました。
個別性というのは、趣味などの特別なことじゃなく、日常のちょっとしたことでもいいんだ、ということです。外を散歩することや、お風呂に入ることが好きなだけでも、十分にその方の個別性となるんですね。

素晴らしい気付きですね!

受け持った当初は、振戦によって吸入薬が全く口元に当たっていなくても、「触るな!」と言われて、患者さんの手を支えることすら許してもらえなかったんですが、実習の最後には、支えることを許してくれていました。ちょっとでも、信頼関係を築けたのかなと思いました。

●終末期の実習を通して気づいたこと


終末期の実習を通して、どんなことを学びましたか?

終末期看護に対して、「死への不安を傾聴する」というイメージを持っていたのですが、終末期だからといって、特別なことをするわけではなく、「看護」という大きな視点においては、すべて同じなんだと感じられた実習でした。

詳しく教えてください!

例えば、ケアで時間を共有するだけでも十分に信頼関係を築くことができるし、患者さんの不安を軽減できるんだと感じました。
患者さんは、病室に一人きりでいると、「死」についてもんもんと考えてしまうと思います。言葉を交わさなくても、誰かと一緒に居るだけで、不安が和らぐこともあるのではないでしょうか。その役割を、看護師が担うことができると思っています。

確かに、そうかもしれませんね・・・。

でもこれって、終末期に限った話ではないと思うんです。
この実習を通して色々な学びを得ましたが、他の領域にも通じる「看護のあり方」について気づけたように思います。

具体的には、どんなことでしょうか?ぜひ教えてください!

まず、清潔ケアの意味について、捉え方が変わりました!
患者さんご本人の安楽ももちろん大切な目的ですが、ご家族がお見舞いに来たときに、患者さんの身辺の環境が常に整っていたり、身体も綺麗になっていたら、入院中よくしてもらっているんだな、と安心すると思うんです。
なので、清潔ケアを行うタイミング一つを取っても、ご家族がよくお見舞いにくる時間までに行うようにしたり、身体のケアだけ行って帰るのではなく身辺の環境についても気に配ったりと。色々なことに気付けるようになったと思います。
清潔ケアばかり行っていた2週間は、「1年生の頃と同じことしかできていない・・・」と思って、やきもきしてしまっていましたが、1年生の頃には気付けていなかった意味が他にもたくさんあるんだと、実習の最後にはわかりました!

素晴らしい気づきですね!

あとは、ケアとコミュニケーションを隔てなく捉えることができるようになったと思います!
当たり前のようですが、言葉でのコミュニケーションをとる時間と、ケアをする時間を別々に取らなくても、話しかけながらケアすることもできるんですよね。
言葉だけでは開けない心の扉も、ケアをしながら、触れながら話しかけることで、開いてもらいやすくなることもあると実感しました。
そのためにも、ケアを手際良く行えるように、一生懸命練習しましたよ!(笑)

なるほど!ケアやタッチングの重要性に気付いたんですね・・・!

そうなんです!
終末期実習で担当した患者さんを通して、清潔ケアやコミュニケーションを一つひとつ大切に行うこと、その重要性を、改めて学ぶことができたと思っています。

●終末期のケア


Kさんは、4月から就職されたんですよね?

はい!終末期の実習でお世話になった病院の、同じ病棟に就職しました!

え!そうなんですか!ご自身で希望したんですか?

はい!終末期の実習がきっかけで、終末期看護に興味を持ち、自分で希望しました。
もちろん、急性期病棟で患者さんが回復していく姿を見られるのも素晴らしいことですが、私は、終末期看護に強く惹かれます。
患者さんが、いい人生を送れたな、と思いながら、穏やかな最期を迎えられるように、看護師として寄り添っていきたいです!
・・・こんな偉そうなこと言っていますけど、実は私、看護学校に行き始めた当初は、看護師を目指したことを後悔していたんです(笑)

とても意外です!!!どうしてそんなに考え方が変わったんですか?

看護学校に入学してすぐは、とにかく大変で・・・。一度は自分の選択を後悔しましたが、実習に参加してから考えが変わりました!
患者さんたちは、未熟な私たち学生を受け入れてくれました。病気を患っているにも関わらず、私を応援してくれる人もたくさんいました。ケアをしているこちらが、パワーをもらうことも多くありました。励ましあえる同期や先生の存在も大きかったと思います。
そんな方々への感謝の気持ちでここまで頑張れて、私自身が変わったのかな、と思います。
いまでは、看護師になって、本当によかったと思っています!
就職してまだ3カ月で、毎日勉強することばかりですが、もっと精進して、より患者さんに寄り添った看護を提供していきたいです!

素晴らしいお話ありがとうございました!今後の益々のご活躍、応援しています!

先輩看護師の実習記録インタビュー

事前学習や実習中の情報収集で大活躍した参考書2つ。どちらもとてもわかりやすいので、オススメとのこと。
現在勤務中の呼吸器病棟では、気になったことはポケットサイズのノートに調べまとめ、日々勉強。抗がん剤の種類や副作用など、細かく書き込まれている。


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